Eye & Health Care NIDEK CO., LTD.

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ニデックのご紹介

第5回 メガネの多様性と発展


 

レンズ加工機の開発

機器開発第三部 開発八課 課長補佐 武市

※所属・役職は掲載時のものを使用

- 画像にある円形のもの、何かわかりますか?


- 実は、皆さんが日ごろよく目にするメガネのレンズなのです。

 メガネは、フレームとレンズの2つのパーツからできていて、加工される前のレンズは、丸い形をしています。
 当社は、丸い形のレンズをフレームに合わせて加工する装置を作っています。以前は、職人さんが、手でレンズを一枚一枚フレームに合わせて削っていました。現在では、当社の加工機を使用してレンズを加工することで、メガネを最短20分でつくることができるようになりました。 
 メガネは、物を見やすくする目的のほか、スポーツ用に目の保護を目的としたもの、お洒落を楽しむためにファッション性が高いものなど、その種類は多様にあります。メガネの用途やデザインの多様化にともない、特殊な形をしたメガネのフレームがつくられるようになると、レンズの形状も複雑化し、高度な加工技術が求められるようになりました。
 今回は、レンズ加工機の開発担当者が感じる開発における困難とやりがいを紹介します。




一筋縄ではいかない開発

‐ 開発のきっかけを教えてください。

「すごくおしゃれな(メガネの)フレームを見つけたんだ。このフレームにぴったりはまるレンズを削る機械をつくってくれないか。」ある日、メガネ屋さんの店長さんにこう相談されました。店長さんの手には、スポーツ用のメガネのフレーム。目を保護するために大きくカーブを描いた、機能性とファッション性の高いデザインです。ヤゲンと言われるレンズとフレームが接する部分の山型突起の形状が、このフレームではL字型で特殊な構造となっていました。「カッコいい…。もしこれを自動で加工出来たら、扱えるメガネ屋さんも増えるし、それに加工機業界にかなり強いインパクトがあるな。だけど…、これは一筋縄ではいかないな」と思いました。


 

‐ 「一筋縄ではいかない」その課題にどのように挑んだのでしょうか?

ヤゲンがL字型となっていて、箇所によってその段差が異なるという、とても複雑な形状となっていました。これを加工する砥石の形を決めるには多くの制約があります。たくさんの形の砥石を試した結果、そろばんの玉に似た形の砥石を設置することとしました。レンズ加工機約60cm×50cm×35cmの中で、どこにその砥石を収めるか、また小さい部分を繊細に削り落とすような機械の動作をどのように計算してプログラミングするかが焦点となりました。





職人さんの手のように動くロボット


‐ 新しい砥石は、思い通りのL字型に切削するように動いてくれたのでしょうか?

いいえ、とんでもないです。開発し続けて10ヶ月間、実際に切削を試みたレンズは、500枚を超えました。考えてみれば、これまで複雑な形状のレンズ加工は、一枚一枚、職人さんの手でおこなわれていました。私は、繊細な職人さんの手の動きを、装置に内蔵された特殊ユニットとロボット制御技術で再現することに挑戦するのです。しかも、どんな材質のレンズであっても最適に切削しなくてはならず、レンズに対して砥石をどの角度で、どの程度の強さで押し付けるのかという、微妙な動きをつくりだすことは想像以上に難しいものでした。加えて、私は学生のころから数学や計算が苦手で、社会人となってからでも計算式などに関わることを無意識に避けていました。しかし、いつかは苦手なことを克服しなければならない日が来るものですね。

‐ 完成したとき、どのような想いでしたか?

変な表現ですが、「気持ち悪かった、、、」です。完成した動作は、ロボットらしい動きというよりも、むしろ職人さんが作業しているかのような生々しい動きだったからです。しかし、苦労と長い時間をかけて実現したこの理想的な切削に感動しましたし、満足感と達成感を得ることができました。苦手なことを克服したことで得られる自信は、苦難に対して簡単にはあきらめない気持ちへとつながり、次の成功への扉を開けてくれます。周りで支えてくれた方々への感謝の気持ちも生まれ、こうして人は成長していくんだと感じました。


 

メガネ業界に貢献するという想い

‐ 数式への苦手意識を克服し、開発の課題を解決する。そこには、どんな想いがあったのでしょうか?

ある日訪れたメガネ屋さんの店長とお話したときでした。彼の語るフレームへの強い想いと、それにさまざまな厚みのレンズをいかに美しくはめ込むかに情熱を燃やす姿に強く心を打たれ、少しでも同じ志を持つ方々の役に立ちたいという想いで開発に没頭しました。開発が佳境に入るころには、数学への苦手意識はどこかに吹き飛んでいましたね。視力矯正という目的にとどまらず、ファッション性や掛け心地などメガネを魅力的にする要素が多くあります。さらにそれらの要素は、時代とともに変化し、レンズと同様、多種多様になっています。市場で求められるメガネデザインを可能にするレンズ加工機を提供することで、メガネ業界の発展に少しでも貢献したいと思っています。また、現在は減ってしまっているレンズ加工の職人さんの技術を機械で実現させ、その技術を継承したいと思っています。長年かけて体得され、受け継がれたその技術は、何度の角度で何ミリ削るという数字では表せない職人さんの「感覚」であり、敬意を覚えずにはいられません。そんな匠の技をロボット制御技術に置き換えることは、大きな挑戦でありとてもやりがいを感じています。

‐ デザインや目的が日々、変化するメガネ。次に目指すものはなんでしょうか?

メガネ屋さんの手間を減らし、メガネ屋さんがよりお客様と接する時間を増やしていただけるような環境を提供するという大きな夢があります。そのために、例えば、加工するレンズを設置してスタートボタンを押すだけで、1組分のレンズを加工してくれる加工機や、メガネを作るためにおこなう眼の測定からレンズの加工まで、すべて自動化したメガネベンダー(自動販売機)など作ることができたら面白いと思います。そうして、店のスペースをもっと有効的に活用し、多様なスタイルの店が生まれるとうれしいですね。


 

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