Eye & Health Care NIDEK CO., LTD.

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ニデックのご紹介

第4回 「人の視界と生活への責任」


 

眼内レンズの開発

IOL開発部IOL開発課 課長補佐 長坂

※所属・役職は掲載時のものを使用

皆さん、「眼内レンズ」という言葉をご存知でしょうか?眼内レンズとは、白内障で混濁した水晶体の代わりとなる人工レンズです。第4回目は、人の眼に挿入され、 眼の機能の一部を担う眼内レンズの開発にかける想いを紹介します。

白内障は、水晶体が濁ってしまう眼の病気です。濁った水晶体を手術によって取り除いた後、取り除かれた水晶体の代わりに眼内レンズを挿入します。 その患者数は、増加傾向にあり、それに伴い眼内レンズに求められることはますます多くなっています。


眼内レンズとは?


-眼内レンズとその仕組みについて教えてください。

眼内レンズとは、白内障で混濁した水晶体の代わりとなる人工レンズです(図①)。レンズの働きをする光学部と眼内で固定する支持部からできています。 柔らかい樹脂でできており、支持部と光学部をあわせた全長は13mmです。当社の眼内レンズには、術者が、手術前に眼内レンズをインジェクター内に設置するタイプ(図②)と 眼内レンズがインジェクターの中に予め設置されているタイプ(これを"プリロード" 英:pre-loadedといいます)があります。プリロードはレンズをインジェクターにセットする作業を省くことができ、手術がスムーズにおこなえます。



-10円玉ぐらいの大きさといわれる眼に、どのようにレンズを埋植するのですか?


眼内レンズを挿入するために、眼の表面に2mm強の小さな切開創を作り、そこから眼内レンズを挿入します。 レンズの動きを説明しましょう。はじめ、レンズは、インジェクター内では、図③のように開いた状態で設置されています。



インジェクターを注射器のように操作すると、眼内レンズが小さく折り畳まれていきます(図④)。眼内レンズは2mm未満の大きさに丸められ、インジェクターの先端から眼内に挿入されます(図⑤)。 切開創が小さいほど、患者様への負担が少なくなります。切開創を小さくするためには、インジェクターの先端を細くする必要がありますが、それは同時に、レンズを小さく折りたたんで射出しなくてはならないということもお分かりになると思います。



そして、レンズが眼内に挿入されると、軟らかく形状回復力に優れたレンズは、再び、眼内で開いた状態となり(図⑥)、水晶体の代わりにレンズの機能を果たします。


安定した手術を


小さな眼の中で開くレンズの動きをコントロールするのは難しくなかったですか?

インジェクターは、レンズを折り畳むため、非常に微細な構造となっています。図のような形のレンズを小さく折り畳み、眼内で毎回同じ開き方で動きを安定化するのは非常に難しいことです。 しかし、これは、眼内レンズ開発ではとても重要なことでもあります。なぜなら、当社の眼内レンズは、日本だけでなく、世界中で使用されており、世界中のどの術者が手術をおこなっても、 安定したレンズの動きを再現することが必要だからです。インジェクターを押す力やレンズを押し出すスピード、使用する環境は、医師によって違います。どの医師が手術をしても、 レンズのインジェクター内の折り畳み方からレンズが射出された後の動きを安定させるよう、何度もレンズを射出し、インジェクター内部の微細な構造の調整をおこないました。

-レンズにはどのような工夫があるのですか?

先に述べたとおり、レンズは、インジェクターの挿入が最適となるように、より小さくかつ、安定した動きとなるようにレンズ側も形状を工夫しています。 また、挿入後、眼内レンズが眼内で中心位置を保つための位置安定性も非常に重要となるため、インジェクターとの相性を最適化しつつ、安定した眼内固定を得ることができる支持部(図①)の形状を採用しています。 この両機能を満たすために、何度も何度も試作を繰り返して少しずつ改良を加え、ようやく今のレンズの形状に辿り着きました。


完成に到るまでの困難に続く困難


-開発をしていて心が折れそうになったときはありませんか?

何度もあります。特に覚えているのは、長い時間を掛けて到達した設計で、一度本格的な検証に進んだ段階で意図した通りに機能せず、設計を大きく見直さなくてはならなかったことです。 そのときは、製品として完成することがあるのだろうかと落ち込み、この先の道のりを想像して恐ろしくなりました。その後は、小さな改良を繰り返しながら、次は設計を後戻りすることがないよう、 細かな問題点を確実に潰すことを心掛けて、完成へと近づけていきました。

眼内レンズの開発は、人の生活を左右する

-どのような気持ちで、眼内レンズの開発を続けられているのですか?

人間が得る情報の70%は、眼から得られると言われています。眼内レンズという、人の眼の一部として機能する製品を開発することは、その人の視界と生活を変えることです。 そのため、人の役に立っているという喜びと、一方で人の生活を良くも悪くもしてしまうという責任やプレッシャーが、この開発にはついてきます。 だからこそ、困難なことに打ちのめされることや、理想とする目標を諦めることがあってはいけない想いで日々開発をしています。

-重要な開発を任されていますが、他にどんなところにやりがいを感じていますか?

眼内レンズ開発の魅力は、新製品の企画から、設計、知財、薬事、生産技術、製造、品質保証、販売までの全てに関われることです。 眼内レンズは、車のように複数の部品やOA機器のように電気回路が必要でなく、シンプルな構造です。だからこそ、製品の一部分のみ関わるだけでなく、 製品全体と全工程に取り組むことができます。自分で設計した開発品を、他部署の専門の方と協力して製品へ創り上げ、ユーザーへお届けし、ユーザーのご意見を直接伺う。 このように、製品の上流から下流までの全てに関わることで、"真に自分で開発した製品を医療現場へ送り出し、人のために役立った"と実感出来るのです。


眼には大きな可能性があります


-眼内レンズの開発に携わられているわけですが、今後の目標はなんですか?

私は、眼内レンズの開発に携わり、自分が上流から下流まで携わった製品が、実際に人の眼の一部となって役立てられているという実感を得ました。 その過程で、眼に関する開発には、非常に大きな可能性を感じました。眼内レンズ開発では、水晶体など主に前眼部に関わっていますが、これからは、前眼部だけでなく眼全体の機能を俯瞰し、 眼の可能性を更に追求していけたらと考えています。

眼という小さな世界にある大きな可能性を追求する長坂。温和な人柄の中に、強い信念を持ち、今日も新たな課題解決に取り組んでいます。

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