高速スキャンによる赤外光撮影画像で眼底・網膜を観察する新製品 RS-3000を発売
2009.07.01
当社は、赤外光による撮影画像で眼底・網膜の疾患を観察するための 新製品「光干渉断層計 RS-3000」を発売いたしました。
発売日: | 7月1日(水) |
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機器分類: | 管理医療機器/特定保守管理医療機器 |
販売名: | 光干渉断層計 RS−3000 |
認証番号: | 221AABZX00112000 |
この製品は、赤外光で眼底をスキャンし、OCT画像(眼底断層像)を撮影する医療機器です。 国内では同様の製品が海外製も含め8社で販売されており、急速に普及しています。 これまで、OCT画像の撮影には複雑な操作を必要としていましたが、RS-3000は 『オートフォーカスと画像位置合せ機能』を搭載し、操作が簡単になりました。
撮影スピードも53,000スキャン/秒と、従来の装置よりも高速化し、 眼底の広い範囲の高画質な撮影を実現しています。『簡単撮影かつ高画質』 で眼科診療を強力にサポートいたします。
さらにこの製品の特徴として、観察画像にSLO画像(共焦点走査型レーザ眼底画像)を採用していることが挙げられます。 他の方式として赤外線CCDカメラ観察方式がありますが、RS-3000は、 SLO画像で特定した疾患部位を高速にOCT撮影出来るため、 より高精細な眼底画像の取得が可能となり、網膜の疾患部位が特定しやすくなります。
2つの画像の主な特長
<OCT画像>
- OCTとは、光の干渉を用いて、物体の断層像を得る方法のこと。本製品は網膜の断層像を撮影可能。
- 880nmの赤外光を撮影光源として使用しているため、まぶしさがない。
- 本製品では、53,000スキャン/秒にて測定する「スペクトラル・ドメイン方式」を採用。 53,000スキャン/秒は、スペクトラル・ドメイン方式の中でも速い部類となる。
- スペクトラル・ドメイン方式により、これまでのタイムドメイン方式で必要だった Z軸方向のスキャンをする事なく、網膜面方向(X-Y軸)に眼底をスキャンすることで、 断層像を撮影できる。
- 3Dスキャンは、9mm×9mmの広範囲でも1.6秒で撮影可能。
- 最大50枚の画像を加算平均処理 (同じ画像を何回も測定し平均化処理を行なうことでノイズを除去し、高画質画像を得る) が可能。
- 高速なスキャンや加算平均処理で、精度の高い画像が得られる。
<眼底画像(SLO画像)>
- 785nmの赤外レーザ光を撮影光源とし、“共焦点走査方式”にて眼底を撮影。
- 共焦点走査方式とは、共焦点絞りによりピント面以外の反射が制限された光線で撮影対象を走査(スキャン)することで、コントラストが高く鮮明な画像を構築する方式。 反射光が制限されているため、ピント位置から外れた部位は画像化されないという特徴がある。
- コントラストが高く鮮明であるので、網膜のどの部分をOCT撮影しているかを特定しやすくなる。
<対象となる主な疾患>
次のような疾患の観察に使用される。
- 糖尿病性網膜症:糖尿病による眼の合併症で、 網膜の細い血管が少しずつ損傷を受けて網膜に異常をもたらす。
- 網膜静脈分枝閉塞症:眼の中では動脈や静脈が細かく枝分かれしている。 血管の動脈硬化があると、動脈と静脈が重なっている箇所で静脈が圧迫され、 血流が滞ると出血などをもたらす。
- 加齢黄斑変性:ものを見るために敏感な部分である黄斑(おうはん)部の網膜が加齢とともに正常でなくなる状態。 症状としては、ものが見えにくい、急激な視力低下、視野の中心で物がゆがむなどがある。
- 緑内障:視神経が障害され視野が狭くなる。 眼圧が高くなることによるものと、眼圧が正常範囲であっても同様の症状が現われるものがある。
【参考情報】
OCT画像の重要性
網膜の断層を撮影するOCT画像は、病変を定量的に観察することができるので、 大切な役割をもっています。平成17年度の疫学調査(*1)にて、日本における 失明原因の1位は緑内障、2位は糖尿病性網膜症であり、これらの診断には、 OCT画像が用いられることがあります。 昨年度より、OCT画像の撮影による保険診療請求が可能となりました。 また、視神経線維層の厚みや、視神経乳頭の形状を測定することにより、 緑内障の診断にも使用されてきています。緑内障の早期発見は、失明の危険性を減らすためにも大変重要です。
*1:出典 “わが国における視覚障害の現状”(平成17年度調査、中江公裕他)
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