Vol.19 視力検査で1.0の次が1.1ではないのはなぜ?

健康診断や目医者さんに行ったときに、視力の検査をしますよね。

学校の視力検査では視力はA, B, C, Dによる判定(370方式※)ですが、目医者さんでは数値での判定となります。
そのときに、視力はなぜ1.0の次が1.2となり、その次が1.5と飛び飛びになるのだろうと疑問に思ったことはありませんか?

今回は、そのなぞを解き明かしていきます。

※370方式とは:0.3、0.7、1.0の3種類の大きさの視力表を使って視力を検査する方法です。A(1.0以上)、B(0.7-0.9)、C(0.3-0.7)、D(0.3未満)という判定をおこないます。

視力表ってなに?

ひらがなや、ランドルト環と呼ばれる一ヵ所が欠けた輪が一面に書かれた視力表は、多くの場合で0.1から1.0までは0.1ごとに指標があります。しかし、1.0の次は1.2、その次は1.5、また次は2.0となっています。

視力と視角の関係


視力は視角の大きさによって決まります。ランドルト環のすきまと目の中心がつくる角度のことを“視角”といいます。 視角は、1°の60分の1である1’(1分)で表されます。(図1)
また、視力は「1÷視角」という式で計算します。

視力0.1の場合
1÷10(視角)=0.1(視力)
という計算をします。

それでは、図2を使ってみていきましょう。
図2は、視力と視角の関係をグラフにしたものです。(中学校の数学で習う「反比例」のグラフですね!)

①は視力が0.1と0.2のとき、②は視力が0.9と1.0のときをあらわしたものです。視力ごとのランドルト環を、横に並べています。①では大きさがかなり変わっていますが、②では大きさの違いがあまり分かりません。


図3は、図2のそれぞれのランドルト環の視角を図にしたものです。

①のように視力0.1と0.2を比べると、視角は10分と5分であり、半分になっています。
しかし②のように視力0.9と1.0を比べると、視角は1.1分と1分であり、あまり変わらないように見えます。

上で見てきた図の見た目の変化から分かるように、視力が同じだけ変わっていても視角も同じだけ変わるわけではありません。視力の数字が大きくなるほど、視角の変化が細かくなります。

つまり、視角がどのくらい変わったのか分かりやすいように、視力表の数字を決めているのですね。

【 参考文献 】
坪田一男(1995)『眼の健康の科学』講談社.
所敬(2008)『所教授の眼科レッスン Q&A 100』自由企画・出版.

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