Vol.5 視力1.0の基準はなに?
みなさんが視力検査をするときに、アルファベットの「C」のような形をよく見かけると思います。 すきまがあいている場所は上、下、左、右、なかには斜めにあいているものもあります。すきまがあいている部分が 見えるかどうかで、視力を判定しています。視力の1.0や0.5が、どのように決まるのかをご紹介します。
ランドルト環
この「C」のマークは、ランドルト環といいます。“ランドルト”というのは人の名前で、1888年にフランスのランドルトという 眼科医が考えました。1909年(明治42年)、イタリアのNaplesで開かれた第11回国際眼科学会にて制定された後、日本ではランドルト環を用いた視力表に移行することとなりました。
視角
ランドルト環のすきまと目の中心がつくる角度のことを“視角”といいます。 視角は、1°の60分の1である1’(1分)で表されます。
基準1.0はどうして決まったのか
視力の単位は、「文字や形を視標として用いて 各部の太さや間隔を視角1分、その全体を視角5分としたとき、正常な眼はこれを見分けることができる」とされました。 そこでランドルトは、この「5分1分角の原理」を用いてランドルト環を作りました。視力を測るには、水晶体が調節を していない「無調節状態」で測ることが良いため、実際に測るときには5 mの距離としました。そして、5 mを基準にランドルト環の大きさが決まり、「5分1分角の原理」を用いたときの視力を1.0とした基準ができました。
視力の計算式
視力を求める計算式は、次のとおりです。
検査距離5mを基準とした視力値1.0のランドルト環のすきまは1’=1.454 mm、大きさは5’=7.272 mmとなります。 他の視力のすきまは、上の式を変えて求めることができます。これは、1.0の視標を他の視力で割ったものと同じになります。
視力「0.5」の視標のすきま 1’÷0.5=2’約3 mm
(大きさは、5分1分角の原理を用いてすきまを5倍し、約15mmとなります。)
視力「2.0」の視標のすきま 1’÷2.0=0.5’→約0.75 mm
(大きさは、5分1分角の原理を用いてすきまを5倍し、約3.75mmとなります。)
実際の検査では検査する距離を変えず、このような計算によりランドルト環の大きさを変えて検査をしています。
その他の視標
日本ではランドルト環が広く用いられていますが、スネレン、ETDRSという視標や、小さなお子さん向けの絵などの指標もあります。
参考文献
1. 「日本眼科の史料 日本眼科学会百周年記念誌 第6巻」、財団法人日本眼科学会、P284
2. 柵山富士雄監修・和泉行男著、「一般屈折検査」、東京眼鏡専門学院、P9
注意1:ここに表示したランドルト環はWebサイト表示用に加工してあります。実際の検査には使用できません。
注意2:個人で視力表を作成して検査をする場合は、ランドルト環に差ができてしまい正確な値がでないおそれがあるため、 あくまで目安としてください。
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