人工視覚の研究開発
「見えないものを見えるようにしたい」人工視覚の開発は創業以来の夢であり、目標です
2001年から「人工視覚」のうち網膜を刺激するタイプである「人工網膜システム」の研究開発に取り組んでいます。
視力を失った方の網膜にある神経細胞を電気で刺激し、複数の光の点が集まった像として視覚を再建する、インプラント型医療機器の実用化を目指しています。
見るしくみと人工網膜システムの見え方
■「見る」しくみ

網膜は「見る」ための重要な役割を担っています。
網膜は、目の奥にあるとても薄い神経の組織で、厚さは約0.2mm(コピー用紙1枚分)ほどです。
光を受けると、その情報を電気信号に変え、視神経を通じて脳へ伝えます。脳はその信号を処理することで、形や明るさ、色として認識します。
さらに詳しく網膜の構造を見ると、網膜には光を感じる視細胞をはじめとする神経細胞があります。視細胞の中には光に反応して働きが変わる物質があり、光が当たることで電気信号が生まれます。この信号は網膜の中で整理されながら視神経へと送られ、脳に伝わり、形や明るさ、色などの情報として処理されます。
■人工網膜システムのしくみと見え方

人工網膜システムは、カメラや体内に埋め込まれた電極などで構成されています。
眼鏡に取り付けたカメラで撮影した映像は、電気刺激の情報に変換され、無線で体内の装置へ送られます。
その信号が網膜近くに埋め込まれた電極に伝わり、視神経を刺激することで、脳へ情報が届けられます。
このようにして、光や形の手がかりとして知覚されます。
ただし、得られる情報には限りがあり、見え方は光の点の集まりのように感じられることがあります。
人工網膜システムは、網膜色素変性症などにより弱くなった網膜の働きを補う医療技術です。
■網膜色素変性症と見え方

網膜色素変性症は、網膜の視細胞の働きが少しずつ低下し、見え方がゆっくりと変化していく病気です。
網膜で光を感じる視細胞が徐々に機能しにくくなり、光を電気信号として脳に伝える力が弱くなります。
そのため、暗いところで見えにくくなったり、見える範囲(視野)が狭くなったりすることがあります。
進行や見え方の変化には個人差がありますが、多くはゆっくりと進みます。
網膜の視細胞の働きの変化が、見え方の変化として現れるのがこの病気の特徴です。
ニデックの人工網膜システム
■しくみ

人工網膜システムは、電極のほかにカメラ、操作端末、無線通信器などから構成されています。
カメラは眼鏡に取り付けられ、顔の向きに合わせて映像を撮影します。操作端末は電池や信号処理装置を備えており、首にかけて装着します。
カメラで撮影した映像を電気刺激の情報へと変換し、その情報を無線通信器を通じて頭部に埋め込まれた体内装置へ送ります。電気刺激の情報は体内装置から、眼球内の電極へ電気刺激として伝えられます。
その電気刺激は網膜を刺激し、それが脳に届くことで、明るさや形などの情報として知覚されます。
■体内装置

人工網膜システムの体内に埋め込むデバイスは、網膜を刺激する電極と通信及び制御機能を持つ本体で構成され、本体と電極は細いリードでつながっています。
本体は直径30㎜の円形のコイルと20×25㎜のチタンケースがつながった形状です。電極は7×7㎜の面積に49個の電極が格子状に配置されたものとなっています。
■電極の埋植

人工網膜システムの電極は「強膜」と呼ばれる眼球を囲む組織に固定されます。
この方式は日本方式と呼ばれ安全性が高いとされています。
人工網膜システム開発の変遷
2001年
日本企業初となる人工視覚研究所設立。
2001年~2005年
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託先として選ばれる。
国家プロジェクトとして複数の大学と共同で人工視覚の研究開発を進める*1。
*1:基礎工学的な研究開発は以下の研究期間と当社が共同でおこなっています。
1)奈良先端科学技術大学 2)九州大学大学院
2006年~2007年
NEDO実用化助成事業に採択され、助成を受けて研究を継続。
研究開発は経済産業省と厚生労働省との連携でおこない、臨床面での研究は大阪大学からの指導を受ける。
2010年
大阪大学主導で、網膜色素変性の患者に亜急性臨床研究*2を実施。
*2:急性臨床研究よりは長い約1カ月間、人工網膜システムを生体に埋め込む臨床研究
2014年~2015年
大阪大学主導で、網膜色素変性症の患者に慢性臨床研究*3を実施。
*3:約1年間、人工網膜システムを生体に埋め込む臨床研究
2016年
製品化を目指す販売装置の開発
2026年
国内初の企業主導治験を開始
















































